


以前より、からむしは、節の草といわれ、5月の小満(二十四節気のひとつ)に当たる日を境に焼き畑を行います。
焼き畑は、品質の均一さを図り芽揃えや害虫駆除、残った灰を肥料にするなどの目的があり、よく晴れた日の午前中に畑の雑草を取り除き、全体が均一になるよう焼き草(小ガヤ、ワラ等)を敷いた後よく乾燥させます。夕方近くに、横一列に火を点け、焼き終わった畑にすぐ後から水をかけます。
焼き畑が行われた翌日に、有機質肥料を蒔き、その上に乾燥を防ぎ、雑草を生えにくくする等の役割を持つワラを敷きます。
化学肥料は、からむしの根を早く傷め、取り出す繊維の質が悪くなってしまうことから使用を避けます。
焼き畑、施肥を終えた後、畑の周囲に杭を立て、垣を棒ガヤ(カヤ)によって作ります。これは、からむしを密集して成長させるとともに、風で倒れたり、擦れ合うのを防ぐためです。
こうして囲まれた畑には、獣はもちろん人さえも侵入できず、静かに成長していきます。



7月の土用の頃から8月のお盆前にかけて、2メートル近くに成長したからむしの刈り取りが続けられます。
刈り取りは早朝から始められ、その日に作業できる分だけを一本一本手で刈り取られます。葉をこき落とし、茎の部分だけを集められたからむしは、尺杖をあてて既定の長さに切り揃えられます。
刈り取ったからむしをできるだけ早くきれいな清水に浸します。これは乾燥を防いで皮をはぎ易くするためです。
皮が2枚になるよう1本ずつ丁寧にはぎます。はいだ皮は根本部分を揃え1握り程度に束ね、必ず冷たい清水に浸けます。
苧引きは上質な繊維を取り出すために最も熟練を要する作業で、苧引き盤・苧引き板・苧引き具とよばれる道具を使い、一枚ずつ表皮と繊維に引き分け、良品・不良品に区別し小さく束ねた繊維を2、3日位陰干しします。

糸づくり
良く乾燥したからむし(原麻)を爪で細く裂き、太さが均一になるよう裂いた原麻を組み合わせ、先端を撚りながら繋ぎます。繋いだ糸は絡まないよう丸く平にしておぼけとよばれるワッパの中に丁寧にためます。
撚りかけ
おぼけにたまった糸を静かに取り出し、湿らせてから専用の糸車で撚りをかける。こうして撚りをかけることにより、強くて丈夫な糸に仕上がります。
※帯1本分に要する苧績みの作業時間
経糸 平均50日~60日
緯糸 平均40日~50日


昭和村のからむしは、着尺から帯、小物製品(一部を除く)に於いて手織りの布を使用し、手の温もりにこだわりました。
からむしは通気性、吸湿性、肌触りが共に優れたとても強い繊維です。
肌の気化熱を奪う特異な織物は「正に氷を纏った様な涼しさ」と評されています。
他の繊維では、得られない軽さと風合いは、こうした特徴と共に、高温多湿の日本の夏には欠かせない素材と言えます。